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リモートセンシング・GIS

地表変位解析

【事例6】2019年山形県沖地震衛星SAR差分干渉処理結果

2019年山形県沖地震(2019年6月18日22:22 JST 発生)の前後に観測された,ヨーロッパの衛星Sentinel-1のSARデータを用いた差分干渉処理の結果です。

図1

2019/6/8と2019/6/20に観測されたSentine-1衛星CバンドSARデータの差分干渉結果です。左図は差分インターフェログラムの位相表示ですが、 6/18の地震の震央近傍の山地に同心円状の位相変化が認められ、地震により生じた地表変位の分布パターンを反映している可能性が考えられます。 右図は位相をSAR視線方向の距離に変換した図で、左図の同心円状の位相変化は、最大約5㎝衛星から遠ざかる変位となります。なお本処理結果は速報扱いであり、 水蒸気遅延等は未補正の状態です。

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【事例7】2019年カリフォルニアで発生した地震の衛星SAR差分干渉処理結果

2019年カリフォルニアで発生した地震(2019年7月4日17:33 UTC および 2019年7月6日03:19 UTC 発生)の前後に観測された, ヨーロッパの衛星Sentinel-1のSARデータを用いた差分干渉処理の結果です。

(1) 差分インターフェログラム (昇交軌道)


上の図は,2019年7月4日と2019年7月10日に観測されたSentinel-1衛星CバンドSARデータの差分干渉結果です。衛星が南から北に飛翔する軌道上で,西から東に向けて照射したレーダーにより観測された結果です。 左図は差分インターフェログラムの位相表示であり,2回の地震の震央を赤色の◎により示しています。右図はUSGSから取得した余震分布を左図に重ねて表示したものです。 Sentinel-1のSARはCバンド(波長=5.6cm)のデータであり,1サイクルの位相変化は,衛星の視線方向における半波長=2.8cmの地表変位に相当します。位相の増加は距離が長くなる(=衛星から遠ざかる)ことを意味します。
位相変化のパターンから,北西-南東方向の走向を持つ断層が存在していることが考えられます。断層の南西側ブロックでは衛星に近づく方向の移動が確認でき,その大きさは最大となる断層北端付近でおよそ75cmになると思われます。 断層の北東側ブロックでは衛星から離れる方向の移動が確認でき,その大きさは最大となる断層中央付近でおよそ60cmになると思われます。またこの断層と直交する,北東-南西方向の走向を持つ断層も存在していると考えられます。 なお,本処理結果は速報扱いであり,水蒸気遅延等は未補正の状態です。

(2) 差分インターフェログラム (降交軌道)


上の図は,2019年7月4日と2019年7月16日に観測されたSentinel-1衛星CバンドSARデータの差分干渉結果です。衛星が北から南に飛翔する軌道上で,東から西に向けて照射したレーダーにより観測された結果です。 左図は差分インターフェログラムの位相表示であり,2回の地震の震央を赤色の◎により示しています。右図はUSGSから取得した余震分布を左図に重ねて表示したものです。
昇交軌道の結果と同様に,位相変化のパターンから,北西-南東方向の走向を持つ断層が存在していることが考えられます。断層の南西側ブロックでは衛星から離れる方向の移動が確認でき,その大きさは最大となる断層北端付近でおよそ60cmになると思われます。 断層の北東側ブロックでは衛星に近づく方向の移動が確認でき,その大きさは最大となる断層中央付近でおよそ105cmになると思われます。 なお,本処理結果は速報扱いであり,水蒸気遅延等は未補正の状態です。

(3) 3次元の地表変位分布


衛星が南から北に飛翔する軌道上で2019年7月4日と2019年7月10日に観測されたデータ(差分干渉結果はこちら),および,衛星が北から南に飛翔する軌道上で2019年7月4日と2019年7月16日に観測されたデータ(差分干渉結果はこちら)を使用して, 3次元の地表変位分布を算出した結果です。水平方向(東西方向および南北方向)の移動量をベクトルで表し,上下方向の変位をカラーマップで表しています。赤色◎印は前震(7/4)と本震(7/6)の震央を示しています。 北西-南東方向の走向を持つ断層が存在していることが考えられます。水平方向の移動量分布から,北西-南東方向の走向を持つ断層を境として断層の両側が反時計周りに回転するように見え,断層に沿う右横ずれの活動が示唆されます。 最大移動量は,断層の南西側ブロックでは北西方向に2m程度,北東側ブロックでは南西方向に2.3m程度に達します。上下方向の変位量分布では,大きく4ブロックに区分されるように見え,南西側ブロックの北側および北東側ブロックの南側で隆起を, 南西側ブロックの南側および北東側ブロックの北側で沈下を示しています。その最大変位量は隆起,沈下ともに30cm程度と確認できます。
(※本結果は,日本活断層学会2019年度秋季学術大会にて発表した成果です。)

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【事例8】2020年メキシコ南東部オアハカ州で発生した地震 衛星SAR差分干渉処理結果(速報)

2020年メキシコ南東部オアハカ州で発生した地震(2020年6月23日15:29 UTC発生;M7.4)の前後に観測された,ヨーロッパの衛星Sentinel-1のCバンドSARデータを用いた差分干渉処理の結果です。

図1

図1

変位発生領域の東側を観測した2020年6月19日と2019年6月25日の観測データ,および,西側を観測した2020年6月12日と2020年6月24日の観測データについて処理を行い,2つの結果を合わせて表示しています。 上図は差分インターフェログラムの位相表示であり,震央を赤色の○により示しています。また,USGSより取得したMMI値(Modified Mercalli Intensity;地震による揺れの強さの指標)のコンタラインを重ねています。 Sentinel-1のSARはCバンド(波長=5.6cm)のデータであり,1サイクルの位相変化は,衛星の視線方向における半波長=2.8cmの地表変位に相当します。位相の増加は距離が長くなる(=衛星から遠ざかる)ことを意味します。 下図は,位相変化量を鉛直方向の変位量に変換したものです(水平方向の変位が無いと仮定しています)。
位相変化のパターンから,隆起が発生していると考えられます。その変位量は最大で90cmになると推定されます。今回の地震に伴い形成された地表面の隆起量分布は西北西-東南東方向に伸長した楕円形の形状をしており、 400㎞×250㎞程度の範囲に広がっているものと推定されます。 一方、地震の震源は地表で隆起が観測された領域の端部付近の深度20~30㎞に位置していると推定されています※1。 震源の位置および地表における隆起量分布域の位置および形状を考慮すると、今回の地震においては、震源で発生した岩盤の変位に端を発し、 隆起域全体を持ち上げるような西北西-東南東方向の走向を持つ逆断層性の断層が活動した可能性を示唆しているものと考えられます。 なお,本処理結果は速報扱いであり,水蒸気遅延等は未補正の状態です。
※1:USGS,NTWC,PTWCなどの公表値

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【事例9】2021年ハイチで発生した地震 衛星SAR差分干渉処理(InSAR)結果(速報)

2021年ハイチで発生した地震(2021年8月14日12:29 UTC発生;M7.2)の前後に観測された,ヨーロッパの衛星Sentinel-1のCバンドSARデータを用いた差分干渉処理の結果です。

2021年8月3日および2021年8月15日の南行軌道で取得された観測データについて処理を行いました。図は差分インターフェログラムの位相表示です。図にはUSGSより取得した震央の位置を赤色の★により示しています。Sentinel-1のSARはCバンド(波長=5.6cm)のデータであり, 1サイクルの位相変化は,衛星の視線方向における半波長=2.8cmの地表変位に相当します。位相の増加は衛星から遠ざかることを意味し,南行軌道の場合では沈下または西方向の移動またはその両方の変位となります。 位相の減少は衛星に近づくことを意味し,南行軌道の場合では隆起または東方向の移動またはその両方の変位となります。位相の色の無い黒色の部分は干渉性が低く干渉しなかったことを意味しています。 干渉性の低下は、空間的に不連続で急激な変位が生じていることが原因であると考えられ、地すべりなどの非常に大きな地表変位が生じた可能性が考えられます。
位相変化のパターンから,東西方向にわたる直線状の干渉性の低い部分(白色矢印)が確認でき、この線に沿って大きな地表変位があったことが示唆されます。 この線は本半島に東西方向にわたり存在するEnriquillo-Plantain Garden断層の位置と調和的であり、この断層の活動に伴う地震であることが示唆されます。 震央付近(図内A)には、同心円状の位相パターンが確認でき、同心円の中心に向かうほど衛星に近づく変位を示しています。その縞の間隔は密であり大きな変位が生じていることを示しています。 その西側(図内B)では衛星から遠ざかる変位を示す位相パターンが確認でき、断層の左横ずれによる西方向への変位を示唆するものとなっています。
なお,本処理結果は速報扱いであり,水蒸気遅延等は未補正の状態です。

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