超高分解能三次元地震探査(Ultra-high resolution 3D seismic survey : UHR3D)は,これまでの海上三次元地震探査のデータ取得方法を発展させ,高周波数震源による高分解能化(約500Hz以上),より高密度の発振間隔および受振点間隔(共に約5m以下),クロスライン方向のビンサイズが5m以下,および短いケーブル(約100m以下)を用いて,深度および空間分解能の向上を行う手法である。本稿ではデータ取得およびデータ処理についてその概要を報告する。具体例としては,日奈久断層帯海域部において実施したUHR3Dを取り上げる。
2016年4月に発生した熊本地震(Mj 6.5およびMj 7.3)で活動した日奈久断層帯の八代海への海域延長部を対象として,2017年2月に1km×2kmの調査域においてUHR3Dを実施した。
日奈久断層帯海域部UHR3Dにおいては,震源としてブーマーを用い,独立記録型のストリーマケーブル(Autonomous Cable System : ACS)4本を用いた。また,三次元調査に不可欠な航測システムとしてORCAを使用し,リアルタイムで反射点分布を計算し,均質な重合数とするためのインフィルの設定に役立てた。
データ処理は,三次元地下構造を正しくイメージするために入念に行われた。特にフィールドノイズの除去や,潮汐や波浪の補正,不自然なフットプリントの抑制は品質の向上に効果があった。
処理された結果より,海底面下100mまでの正確な地下構造が判明するとともに,詳細な断層分布を得ることができた。この結果は,今後の日奈久断層帯海域部の研究への貴重なデータとなるであろう。
UHR3Dは,トレンチ調査が極めて困難である海域部での横ずれ断層の調査において非常に有効的な手段となることが期待されるとともに,土木工事等で海域での浅層部の構造調査が必要となる場合にも活用できるであろう。