最新の技術サービス リモートセンシング技術サービス 事例

2021年ハイチで発生した地震の
リモートセンシングによる
衛星SAR差分干渉処理(InSAR)結果(速報)
最新の技術サービス リモートセンシング技術サービス 事例

2021年ハイチで発生した地震の
リモートセンシングによる
衛星SAR差分干渉処理(InSAR)結果(速報)
2021年ハイチで発生した地震(2021年8月14日12:29 UTC発生;M7.2)の前後に観測 された,ヨーロッパの衛星Sentinel-1のCバンドSARデータを用いた差分干渉処理の結果です。 contained modified
図(差分干渉処理の結果)

2021年8月3日および2021年8月15日の南行軌道で取得された観測データについて処理を行
いました。図は差分インターフェログラムの位相表示です。図にはUSGSより取得した震央の位置を
赤色の★により示しています。Sentinel-1のSARはCバンド(波長=5.6cm)のデータであり,
1サイクルの位相変化は,衛星の視線方向における半波長=2.8cmの地表変位に相当します。
位相の増加は衛星から遠ざかることを意味し,南行軌道の場合では沈下または西方向の移動ま
たはその両方の変位となります。位相の減少は衛星に近づくことを意味し,南行軌道の場合では
隆起または東方向の移動またはその両方の変位となります。位相の色の無い黒色の部分は干渉
性が低く干渉しなかったことを意味しています。干渉性の低下は、空間的に不連続で急激な変位
が生じていることが原因であると考えられ、地すべりなどの非常に大きな地表変位が生じた可能性
が考えられます。
位相変化のパターンから,東西方向にわたる直線状の干渉性の低い部分(白色矢印)が確認
でき、この線に沿って大きな地表変位があったことが示唆されます。この線は本半島に東西方向に
わたり存在するEnriquillo-Plantain Garden断層の位置と調和的であり、この断層の活動に
伴う地震であることが示唆されます。震央付近(図内A)には、同心円状の位相パターンが確
認でき、同心円の中心に向かうほど衛星に近づく変位を示しています。その縞の間隔は密であり大
きな変位が生じていることを示しています。その西側(図内B)では衛星から遠ざかる変位を示す
位相パターンが確認でき、断層の左横ずれによる西方向への変位を示唆するものとなっています。
なお,本処理結果は速報扱いであり,水蒸気遅延等は未補正の状態です。