物理探査データ
取得サービス

反射法地震探査

反射法地震探査は、地表の近くで人工的に発生させた震動(弾性波)が下方に進行し、速度と密度が変化する地下境界面で反射して、再び地表へ戻ってきたところを受振器(地震計)で捉え、 収録された記録を処理・解析することにより、地下構造を可視化する手法です。捉えられた反射波の到達時間と振幅から、地下の速度構造、地質構造形態、地層を構成する岩石や流体の性状が明らかになります。得られた地下の情報は、炭化水素資源の探査やCCS事業における適地選定、貯留モニタリング等に役立てられます。

様々な地表環境において地震探査データを収録するために、震源としてダイナマイト、大型・中型のバイブレータ、エアガン等、受振器としてジオフォン(1成分、3成分)、ハイドロフォン、曳航型受振ケーブル(ストリーマー)、海底設置型受振ケーブル(OBC; Ocean Bottom Cable)等を利用し、状況に応じてそれらを組み合わせて調査を実施しています。

陸域においては大型バイブレータと約3,000チャンネル以上の受振点を用いた広域3次元探査が実施される一方、海域ではエアガン震源とストリーマーケーブルによる海上3次元探査が行われます。それらの調査エリアをつなぐ陸・海遷移域においては、各種受発震システムを統合した運用が行われ、陸域から海域に亘り継ぎ目のない(シームレス)海陸接続域3次元調査を実現しています。

【反射法データ取得の概念図(二次元)】
【三次元データ取得レイアウト】

反射法地震探査により可視化された地下構造の例。
中央付近にデルタのプログラデーションが見られる。

測位システムとして、陸域ではRTK-GPS(Real Time Kinematic GPS)システムを導入し、海域では船位を測定するためにDGPS(Differential GPS)システムを使用した独自の無線式航法システムを保有しています。応用事例として、海域でそれぞれDGPSを搭載した発震船および受振船を別途用意し、2船同時に運用して測位を行い、1船では不可能な長大な発震点・受振点間距離(オフセット距離)を有するデータを取得しています。

S波解析に対しては、陸域では3成分データの取得は一般的な技術となっていますが、当社は海域におけるP-S変換波の利用に着目し、海中においては収録不可能な多成分データを、受振器を海底設置することにより実施しています。

【陸上震源(大型Vibrator)】
【独立型受振システム】
【海上発震風景】
【2船式データ取得法】

屈折法地震探査

屈折法地震探査は、地中を伝わる波(弾性波)の中で、地層の境界面で屈折し、地層の境界を伝わり、地表に戻ってくる波を利用して地質構造を推定する探査法です。

地層の境界面を境に下層の弾性波速度が上層よりも速い場合、ある距離以上離れた受振点では、その境界からの屈折波が最も早く到達します。 屈折法地震探査では、この最初に受振された波(初動)の到達時刻を観測記録から読み取り、地下の速度分布および境界面深度を求めます。 解析方法には、多層構造を仮定して各層の速度分布および境界面深度を浅い層から深い層へ順に求める方法(はぎとり法、タイムターム法など)に加えて、 層構造を仮定せずに連続的な速度分布を逆問題として解く方法(走時トモグラフィ)があります。また、屈折法探査記録は、後続波を含む波形情報自体を用いて行う Full-waveform Inversion 解析(FWI)に用いることができます。

【屈折法地震探査模式図】

屈折法地震探査の解析結果は、速度分布図(あるいは境界面構造図)として地質構造解釈に用いられるほか、反射法における深度イメージングでの初期速度モデルとしての利用など、反射法・屈折法の統合解析における利用が進んできています。当社では、小型震源(油圧インパクタ等)を用いた小規模な二次元探査から、大型震源(バイブレータ、大薬量発破、エアガン)および多チャンネル収録システムを活用した二次元あるいは三次元反射法・屈折法統合地震探査まで、調査対象に応じた幅広いサービスを提供しています。

(青木ほか, 2016, 物理探査学会第134回学術講演会に加筆)

【三次元トモグラフィ解析により浅部の高速度異常分布を抽出した例】

試錐情報との比較から火山岩類の分布との対応が判明しました。

初期モデルランダム化トモグラフィ

当社の屈折トモグラフィー解析では、初期モデルへの依存性を定量的に評価するモンテカルロ型信頼性評価解析法(白石ほか, 2010)を採用しており、一定の条件下でランダムに生成された多数の初期モデルに対してトモグラフィー解析を実施し、すべての結果を平均化した速度分布と、その平均値からの偏りを示す標準偏差分布を求めます。これにより、初期モデル設定における任意性を排除した客観性の高い速度分布と速度推定結果における初期モデル依存度の空間分布を提示いたします。

【初期モデルランダム化による屈折トモグラフィー解析の概要】
        

(a)真のモデル、 (b)初期モデルとして使用された全ての1次元速度プロファイル。(c)各初期モデルからの推定値の平均(平均速度モデル)、 (d)標準偏差値分布、 (e)波線密度。(f) 最終モデルにおける理論走時と観測走時の比較。

FWI解析の総合サポート

屈折法調査データから地下の物性値分布を高分解能に求める手法として、後続波を含む波形情報自体を用いて行う Full-waveform Inversion 解析(FWI)のサービスをご提供します。FWIは一般的に低周波成分を含む長大オフセット記録に加えて、精度の高い初期モデルが必要とされます。当社ではブロードバンドバイブレータによる波形データの取得、初期モデルランダム化トモグラフィによる初期速度モデルの提供など、高精度な速度モデル構築を総合的にサポートいたします。

【屈折トモグラフィの速度モデルを利用し反射法の深度イメージングが改善された例】

重磁力探査

重力は、地下の岩石の密度分布が変わることで変化します。一般的には、火成岩は堆積岩より密度が大きく、また、堆積岩でも埋没深度が深いほど密度は大きくなります。 その密度差を利用するのが重力探査です。

重力探査では、相対重力計を用いて、ある測線に沿った或いは三次元的に分布する測定点で測定を行い、各種補正処理を行って、重力異常値を計算します。

当社では、相対重力計を使用して、陸上のみならず海上、海底での重力測定を実施し、また、様々な解析を適用して、エネルギー分野や学術調査等に貢献しています。

地球の磁場は、地下の岩石の帯磁率や残留磁化が変わることで変化します。 磁鉄鉱等を含む火成岩は堆積岩や炭酸塩岩より帯磁率が大きくなります。その帯磁率差を利用して、地下構造を推定するのが磁力探査です。

磁力探査では、プロトン磁力計等を用いて、航空機やヘリコプター、船舶を用いて、海域や陸域を広範囲に調査することが可能であり、重力探査と併せて、 資源探査や防災目的等で、広域の地下構造把握に使用されることが多い調査方法です。

【重磁力異常の概念図】

重力や磁力異常値は、フィルタリングや鉛直一次微分、シェイプインデックス等の解析を行うことにより、基盤構造や褶曲構造、潜在断層、カルデラ構造の検出や金属鉱床を知ることが出来ます。 また、フォワードモデリングやインバージョン解析により、定量的な構造解析を行うこともできます。

更に、両者を統合解析することにより、より精度の高い地下構造の推定にも貢献することが期待されています。

重力異常に基づく地下構造解析例

【ブーゲー異常図】
【シェイプインデックス】

地質調査総合センター(編)(2004)
日本重力 CD-ROM 第2版 収録データより作成

重磁力異常に基づく統合解析例

三次元重力-磁力ジョイント・クラスタリング・インバージョンによる(a)密度分布、(b)磁化強度分布、(c) クラスター分布(左側は平面図で、上部の数字は深度。 右側は断面図で、位置は左端の平面図に記載)

VSP法

VSP(Vertical Seismic Profiling)は地表で発震した弾性波を、坑井内の多数の地点に設置した受振器を用いて観測する弾性波探査です。 震源は陸上ではバイブレータ、海上ではエアガンが一般的に用いられています。受振器には多くの場合、三成分受振器が用いられ、 高精度な観測が可能となるようにパッケージングされたツールを坑井内に降下し、アーム等を利用して坑壁に押し付けてデータを取得します。

【VSPの概念図】

VSPは震源の坑井位置からのオフセット距離や、震源の配置の方法によりいくつかの種類に分類されます。

坑口近傍で発震を行うVSP調査はゼロオフセットVSPと呼ばれ、直接波の初動走時から時間と深度の関係や、坑跡沿いの速度構造が得られるほか、 コリドースタックと呼ばれる坑跡に沿った反射法記録は、地表反射法記録との対比に役立ちます。

震源を坑井から水平距離を持った地点で発震するオフセットVSP調査は、坑井近傍の反射法記録の作成に用いられます。 さらに震源を移動させながら発震しデータを取得するウォークアウェイVSPや、三次元的なデータを取得する三次元VSPでは反射記録に加えて、 トモグラフィ解析により坑井近傍の速度構造を得ることができます。 また、これら調査では地表にも受振器を配置することで、地表反射法記録により広範囲な構造把握が可能になります。

【VSPの基本的な調査形態】

VSP調査では坑井内の観測点を数多く配置することで、貯留層のより詳細なイメージングが可能となります。このため受振器は多数を連結させてデータ取得効率の改善が図られますが、高精度な観測向けのセンサーは高価であることから、多連観測をより安価に実現できるハイドロフォンケーブルや、近年は坑内全区間を一度の発震で計測できるDAS*1の利用も増えてきています。特にDAS を利用したVSP調査では三次元的な発震点配置や、複数の坑井で観測が比較的安価に実現できるため、坑井近傍の三次元高分解能調査への応用が期待されています。

*1:Distributed Acoustic Sensing、光ファイバで振動や音響を捉えることができるセンサシステム

さらに詳しく

測量サービス(測位・測量)

当社で実施している測量は、高さを測る水準測量、水平位置を測る測量(三角測量、三辺測量)、GPSを利用した三次元測量であり、いずれも国が定めた公共測量作業を実施可能な技術力を保有しています。
近年では、陸上測量でのGPS測量で主に用いられているRTK-GPS(Real Time Kinematic GPS)をいち早く導入し、運用実績を積み上げています。

海上においては、DGPS(Differential GPS)をベースとした航法支援システムや音響測位システムを用いて、調査船や海上地震探査システム(ストリーマーケーブルやOBC、OBSシステム、テイルブイ、エアーガン震源等)のナビゲーションや測位を行います。 当社はこれらの技術や機材を多数保有しており、海上物理探査における多様な測量サービスを行っています。

また、上記測量作業により得られた位置データの編集、図面作成、GIS化によるデータベース構築などを含む測図作業も行っており、 陸上、海上、国内外を問わず、測量作業全般のサービスを提供することが可能です。

各種学会・団体(日本測地学会、航法学会、高精度測位協議会、英国航法学会、水路協会、測量協会、物理探査学会 等々)に加盟・協賛し、 常に最新の測量技術の動向を把握し、当社のサービスに取り入れるべく、取り組んでいます。

【Total Stationによる陸上測量】
【最新型GPSモジュール】
【RTK-GPSによる陸上測量】

航法支援システム
(小型航法システム)

海上物理探査作業における航測作業全般を支援する小型の航法システムであり、
下図に示すとおりGPS、方位センサ、測深器などの周辺機器からのデータを取り込んで、測線誘導・震源制御ならびにデータ取得を行います。

【小型航法システム 機器構成】

航法支援システム
(海上3D地震探査)

海上三次元地震探査作業における航測作業全般を支援する大型の航法システム「ORCA」の運用例を紹介します。
「ORCA」は観測船からの位置や方位、水深、レーダーなどの情報と曳航ケーブルの要所に取り付けられたGPSや方位計、水深計、音響測位装置からの情報を基に曳航物の位置を求め、測線誘導・震源制御ならびにデータ取得を行います。

【航法支援システム「ORCA」システムの
オペレーション】
【「ORCA」ナビゲーション画面】
【Tail Buoy rGPS】
【コンパスバード、音響測位装置】
【Gun Float DGPS】

音響測位システム

当社では、英国 Sonardyne社製 TZ/OBC 音響測位システムを保有・運用しています。
このシステムは、船上装置及びOBC(Ocean Bottom Cable)に装着するTransponderから構成され、船上装置と各Transponder装置間で通信を行って、各Transponder装置の測位を行います。

音響測位システムの船上装置構成は右図の通りとなります。音響測位観測用ソフトウェアは、GPS受信機からのDGPS
(Differential GPS)による測位位置を入力し、 観測船の位置を高精度で測位します。
また、Transceiver装置を制御して水中に設置したTransducerから一定間隔で音波(質問信号)を送出し、各Transponder装置から戻される応答信号を受信して距離を測定します。
観測船は測線に沿って航行しながら観測を行い、各Transponderに対して複数のサンプル(信号送出から応答信号受信までの時間)を取得して高精度測位を行います。

音響測位システム船上装置 機器構成

OBC(Ocean Bottom Cable)には、一定間隔(概ね3チャンネル毎)でTransponder装置が取り付けられています(下図は、全チャンネルに装備した例)

Transponder装置(OBCへの取り付け)