海洋電磁探査

海洋電磁探査


海洋電磁探査は、海水中で交流電流を送信し、地層中で励起された電場と磁場を海水中の受信装置で受信することにより、地層の比抵抗値(電流の流れにくさ)を測定する探査手法です。岩石の比抵抗値は、鉱物粒子間の孔隙を満たす流体の種類によって大きく変わります。電気の良導体である塩水で満たされていれば比抵抗値が小さくなり、不導体の炭化水素で満たされれば比抵抗が大きくなります。つまり、比抵抗値の大きな箇所に炭化水素が存在している可能性があります。炭化水素探鉱で標準的に用いられる地震探査は、炭化水素を含む地層に強く反応して、その有無をよく示しますが、多寡を判別することはできません。地層の比抵抗値を測定する海洋電磁探査は、炭化水素の多寡を知ることができる探査手法として期待されています(図1)。

【図1 ガス飽和率と探査手法による反応の強さ】

現在のところ国内では海洋電磁探査サービスが提供されておらず、海外コントラクターによる調査の費用は非常に高額で、かつ取得されたデータの解析過程は多くが秘密になっています。当社は、研究機関や大学などと共同で海洋電磁探査技術の内製化に取り組み、安価で技術的透明性の高い調査サービスのご提供を目指しています(図2)。2020年には日本近海における実証データの取得を通じて、データ取得から処理、解析に至る一連の技術パッケージの完成が確認されました(図3、図4)。現在、近い将来の商業化に向けた準備を進めています。

【図2 共同研究で開発された海洋電磁探査の要素技術】

(高井ほか, 2022, 石油技術協会誌)

【図3 実データ(左)に対し複合型ノイズ抑制を適用した結果(右)】

(高井ほか, 2022, 石油技術協会誌)

【図4 メタンハイドレート層に対する海洋電磁探査(カラー)】