光ファイバセンシング技術開発

光ファイバセンシング技術開発


▶光ファイバセンサとは?

光ファイバセンサとは物理量や化学量を測定する部分(計測部)が、光ファイバまたは光部品で構成されているものをいい、温度、歪、圧力、振動、電流といった物理量や、各種化学量の計測が可能とされています。以下に挙げる従来の電気式のセンサにはない性能や特徴によって、新たな適用場面が創出されつつあります。

光ファイバセンサの特徴や優位性
① 細径・軽量
② 可とう性
③ 高強度・耐久性・耐食性
④ パッシブな計測部
⑤ 耐電圧性・耐電磁誘導性
⑥ 安全防爆性
⑦ 遠隔計測
⑧ 分布・準分布計測
光ファイバセンシング振興協会
「光ファイバセンサ入門」より

▶DAS-VSP 技術の導入

当社はこのような光ファイバセンシング技術が切り拓く未来に注目しており、経済性に優れたモニタリングシステムや新たな探査法の開発など、応用研究・技術開発に取り組んでいます。平成30年には(独)エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の地熱探査技術開発事業において、国内地熱地域で初となるDAS-VSPを実施いたしました。分布型光ファイバ音響センサ(Distributed Acoustic Sensor)を坑井内受振器として利用することにより、従来の観測装置では難しかった200℃を超える坑井内で、稠密な受振点間隔による高効率のVSP調査が実現できることや、坑井周辺で発生している振動イベントの変化を時空的かつ詳細に把握できることを実証しました。

(永田ほか, 2020, 日本地熱学会令和2年学術講演会)

地熱井で取得されたDTSおよびDASモニタリングデータ

▶光ファイバマルチセンシング

令和3年度からは(国研)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発プロジェクト「地熱発電導入拡大研究開発」における「光ファイバマルチセンシング・AIによる長期貯留層モニタリング技術の開発」に参画し、AI-IoT 技術を活用した大容量データ遠隔モニタリングシステムの開発に取り組んでいます。人里離れた山間部の坑井で収録された膨大なDAS記録から、岩盤破壊音(AE)などの振動イベントをAIにより自動選別し、衛星通信を介して30分で利用者の手元に配信する、そのようなシステムの構築を目指して日々開発を進めています。

準リアルタイム遠隔モニタリングシステムの概念図